タイヤを自分で組み替えるときに必ずぶつかる壁――それが「ビード上げ」です。
タイヤをホイールにはめ込んでも、そのままでは隙間が空いていて空気が逃げてしまい、普通の空気入れでは膨らんでくれません。
そこで本来なら「ビードブースター」や「強力なコンプレッサー」で一気に空気を送り込み、タイヤをホイールに密着させます。ところが私が初めてDIYで組み替えたとき、手元にあるのは小型コンプレッサーだけ。どうしてもビードが上がらず、焦った末に“裏技”を試してしまったのです。
そう――ガス爆発でのビード上げです。
これは海外動画などでよく見かける方法ですが、結論から言えば「一瞬で成功、でも二度とやりたくない」。今回はそんな危険すぎる体験談をまとめます。
ビード上げとは?
まず簡単に説明すると、ビード上げとは「タイヤとホイールの隙間を一気に塞ぐ作業」です。
新品タイヤや組み替えた直後の状態だと、タイヤのサイドウォールが中央に寄っていて、空気を入れてもシューシュー漏れてしまいます。
この隙間を一気に広げ、密閉状態を作ることで初めて空気が充填できるようになります。通常は以下の方法で行います。
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強力なコンプレッサーで一気に空気を送り込む
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ビードブースター(タンク式エアチャージャー)を使用する
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ビードクリームやタイヤワックスを塗って滑りを良くする
これらが正しいやり方であり、爆発を使う方法は絶対に推奨されません。
危険な裏技「ガス爆発ビード上げ」
ネットを調べていると出てくるのが、「パーツクリーナーやブレーキクリーナーを吹き込み、ライターで点火 → 爆発の勢いでビードを上げる」という方法です。
火炎で一気に空気が膨張し、タイヤがホイールに密着するのですが……。
これは本当に危険です。
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火傷や爆発事故のリスク
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ホイールの塗装が焦げる
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タイヤのゴムが熱で劣化する
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火が周囲に燃え移り火事になる
つまり「成功すれば一瞬、失敗すれば大惨事」。それを実際に試してしまいました。
実際にやってみた体験談
ある日の休日。古いタイヤを組み替えていたのですが、エアーを入れてもビードが上がらず途方に暮れていました。
そんなとき、横で見ていた子供が『ガス爆発でやったら?』とアイデアをくれたのです。」ものすごい音とともに、炎が一瞬立ち上がり、タイヤがホイールにピタッと密着しました。
確かにビードは上がったのですが……その瞬間、心臓が飛び出るくらい驚きました。
ホイールごとジャンプしましたね。
幸い火は周囲に燃え広がらず、怪我もなかったのですが、終わった後は「これ、絶対やっちゃダメなやつだ」と強く感じました。
この方法の問題点
爆発でのビード上げは確かに“一瞬”です。でも、それ以上に危険が山盛り。
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安全性ゼロ:火の勢いは制御できず、予想外の大爆発になることもある。
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タイヤ寿命を縮める:熱でゴムが硬化し、バーストのリスクが高まる。
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ホイール破損:アルミホイールなら塗装が剥げたり、最悪歪む可能性もある。
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火災リスク:ガレージや車に燃え移れば全焼事故になりかねない。
やってみて初めてわかりましたが、これはDIYの範疇を完全に超えた“危険行為”です。
正しいビード上げ方法
ではどうすべきか?安全で確実な方法を紹介します。
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ビードブースターを使う
エアタンクに溜めた空気を一気に噴射し、隙間を強制的に塞ぎます。整備工場でもよく使う方法で、安全性も高い。
WEIMALL エアービードブースター 引っ張りタイヤ 空気入れ 大画面 オイルゲージ タンク容量20L タイヤサイズ14~24.5インチ
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強力なコンプレッサーを導入する
小型コンプレッサーだと空気量が足りないことが多いので、吐出量の多いタイプを用意するのがベスト。 -
ビードクリームを塗布する
滑りが良くなり、ビードが上がりやすくなる。石鹸水でも代用可能。 -
最終手段はプロに依頼
どうしても自分で上がらない場合、無理せずタイヤショップへ持ち込むのが一番安心です。
まとめ
爆発でのビード上げは、確かに「怖いけど一瞬」でした。
しかし体験してみてわかったのは「命の危険と引き換えにするほどの価値はない」ということ。
DIY整備は楽しいですが、安全を無視した方法は本末転倒です。これからタイヤ交換に挑戦する人には、ぜひ正しい工具を使い、安心して作業してほしいと思います。
私の体験談が、誰かの「危険な近道を選ばない」きっかけになれば幸いです。
