DIY整備をしていると、「しっかり締めたつもりが逆効果だった…」という経験、ありませんか?
実は、締めすぎは部品の寿命を縮めるだけでなく、重大なトラブルにもつながるんです。
ここでは、よくある締めすぎトラブルとその防止法をまとめました。
1️⃣ アルミ部品のネジ山潰れ
代表例:オイルパン・エンジンヘッド・ミッションケースなど
アルミは柔らかく、スチールボルトを強く締めると簡単にネジ山が潰れます。
潰れてしまうと、オイル漏れやボルトが空回りする原因になります。
🧰 対策
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指定トルクを守る(オイルドレンボルトは20〜30N・mが目安)
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トルクレンチを使用
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潤滑剤を塗る場合はトルク値を10〜15%下げる
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潰れた場合はヘリサートやタイムサート修正で再生可能
2️⃣ ブレーキ系ボルトの伸び・破損
代表例:キャリパーブラケットボルト・ブリーダープラグなど
「走行中に緩むのが怖いから」と強く締めすぎるケースが多い部分。
しかし、ボルトが伸びたり座面が変形すると、次回整備で再利用ができません。
🧰 対策
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新品交換が前提のボルトは再使用しない(特にテンションボルト)
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サービスマニュアル記載のトルク+角度締めを厳守
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ブレーキフルード漏れ防止にはシールワッシャーの再使用禁止も重要
3️⃣ 樹脂パーツの割れ
代表例:エアクリーナーボックス、ライト固定、内装パネルなど
樹脂系のネジやタッピングビスは、少しの締めすぎで「パキッ」と割れます。
割れると固定が甘くなり、振動や異音の原因にも。
🧰 対策
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ドライバーで軽く「止まるまで」締める
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インパクトドライバーは使わない
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ネジ部にゴムワッシャーを挟むと締めすぎ防止に効果的
4️⃣ ホイールナットの締めすぎ
意外と多いのがこれ。
インパクトでガチガチに締めると、ハブボルトが伸びたり折れたりします。
🧰 対策
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トルクレンチで規定値(軽自動車:90〜100N・m、普通車:100〜120N・m)を守る
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十字レンチでの増し締めは控える
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締め順は対角線で均等に
5️⃣ 配線や電装パーツの端子割れ
代表例:バッテリー端子、ギボシ、ヒューズボックス固定など
締めすぎると端子が歪んで通電不良になり、最悪発熱やショートの原因にもなります。
🧰 対策
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締めすぎず、軽く固定するだけ
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締めトルクは2〜5N・m(指先トルク)で十分
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バッテリーターミナルは端子を回して調整せず、ボルトで軽く固定
6️⃣ パッキン・ガスケットの潰れ
代表例:オイルフィルター、オイルパン、ウォーターポンプなど
締めすぎるとパッキンが変形し、かえってオイル漏れ・水漏れが悪化します。
🧰 対策
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新品パッキンは軽く均一に締め付け
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ゴム製や紙製パッキンはトルク値+1/8回転で止める程度
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再使用時はシール面の清掃を忘れずに
🧩 締めすぎを防ぐ3つのコツ
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「トルクレンチ」を必ず使う
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締める前にネジの素材を確認する(アルミ・樹脂は要注意)
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“カチッ”が鳴ったら止める勇気を持つ
🔩 まとめ|“強く締める=安心”ではない!
締めすぎは、初心者ほどやりがちな失敗です。
しかし整備の基本は「適切なトルク管理」。
強く締めるより、正確に締めることが安全につながります。
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