ブレーキ整備の仕上げとして欠かせない「エア抜き(ブリーディング)」。
しかし、正しく行わないと “いつまでもペダルがフニャフニャ” になったり、最悪は ブレーキの効きが低下 して走行不能にもなります。
この記事では、DIY作業でよくある失敗と、
初心者でも確実にブレーキのタッチを復活させるためのコツをまとめます。
■ なぜエア抜きが必要なのか?
ブレーキライン内に空気が入ると、
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ペダルが奥まで沈む
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stoppingパワーが弱くなる
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ABS作動時に挙動がおかしくなる
などの症状が出ます。
ブレーキフルードは圧力が直接制動力に変わるため、
少しの空気でも大きくブレーキ性能が落ちるのが特徴。
■ エア抜きの基本手順(初心者向け)
① リザーバータンクの残量を満タン付近に
作業中にフルードが減ってタンクが空になると
再度ラインに空気が吸い込まれる → 一からやり直し。
常に“上限付近”をキープすることが大切。
② エア抜きの順番は「マスターから遠い順」が基本
一般的には以下の順番:
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右リア
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左リア
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右フロント
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左フロント
※車によって異なる場合あり(整備書を確認)。
③ 2人作業が理想
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一人:ペダルを踏む係
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もう一人:ニップルを開閉する係
ペダル担当の合図が大事:
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「踏みます」→ ペダルを踏み込む
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「踏んでます」→ 踏んだまま保持
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ニップルを開けてエア+フルードを排出
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「戻します」→ ニップルを閉めてからペダルを戻す
④ ペダルを“ゆっくり”踏む
いきなりガンッと踏むと
フルードが攪拌されて気泡が増えることもある。
ゆっくり、一定の速度で。
■ DIYで失敗しやすいポイント
❌ ① タンクの残量を確認し忘れて空気を吸わせる
一番多い初歩的なミス。
1回でも空吸いしたら最初からやり直しになる。
❌ ② ニップルを開けるタイミングがズレる
早く開けすぎ → ペダルの戻りで空気を巻き込む
遅すぎる → エアが外へ出ない
特に慣れてないとタイミングがズレやすい。
❌ ③ ホースを付けない(飛び散る+空気混入)
ホースなしでやると
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どこにエアが出てるか見えない
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出た気泡が戻って入る
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フルードが飛び散って塗装が即死
透明ホース+受けボトルは必須。
❌ ④ 外したブレーキラインの締め忘れ
キャリパーボルトやバンジョーボルトの締めが甘いと、
いくらエア抜きしてもペダルが硬くならない。
増し締め確認は絶対に行う。
❌ ⑤ ペダルポンピングの強さがバラバラ
踏む力が毎回違うと、
気泡が残ったままになることがある。
“常に同じリズムで” が鉄則。
❌ ⑥ ABSユニット内にエアが残る(DIYでやりがち)
ABS車は、ライン内だけではなく
ABSモジュール内部にもフルード経路があるため、
部品交換やライン交換を伴う作業だと
そこにエアが入り、通常のエア抜きだけでは改善しないことがある。
→ ディーラー診断機で「ABS作動エア抜き」が必要な場合あり。
■ ペダルがまだフニャフニャ…原因は?
● タンクが空になり再び空気を吸った
→ やり直し。
● ニップルの締め忘れ・閉まり不足
→ 微量の空気が入る。
● ホース先端がボトル内で“空気中”に出ている
→ 気泡が逆流する。
● ライン交換した場合、他の場所にエアが残っている
→ 全部の車輪を再度エア抜き。
■ エア抜きのコツまとめ
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マスタータンクは常に満タン近く
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ニップルを開ける・閉めるタイミングを合わせる
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ペダルはゆっくり均一に踏む
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ホース先は常にフルード内に沈める
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場所は“遠い方から”の順番で
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ABS搭載車は症状によって診断機が必要
DIYでも正しくやればしっかりブレーキタッチは戻ります。

