■はじめに
DIY整備に慣れてくると、トルクレンチを使う機会が増えますよね。
「規定トルクで締めれば完璧!」──そう思っていた時期が、私にもありました。
今回は、トルクレンチを信用しすぎてネジ山を潰してしまった実体験を紹介します。
■事件はホイールナットの締め付けで起きた
ある日のタイヤ交換。
「トルクレンチもあるし、完璧だな」と油断していました。
規定トルク110N・mにセットして、カチッと音がするまで締める……。
ところが、カチッが鳴ってもまだ回る。
「あれ? まだ締まるな」と思ってさらに回すと──
嫌な感触とともに、「ズルッ」とトルクが抜けた感覚。
ネジ山、終了。
■原因は“トルクレンチ=絶対正確”という思い込み
後で調べてみると、原因はいくつかありました。
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トルクレンチの校正ズレ(長期間使用・保管姿勢でズレる)
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潤滑状態(ネジが油っぽいとトルク値が実際より高く伝わる)
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締める対象の材質(アルミパーツなどは特にデリケート)
つまり、トルクレンチが正確でも、環境次第で結果は変わるということです。
■DIYでの反省点
今回の教訓は3つです。
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トルクレンチは万能ではない
→ 最後は手の感覚も合わせてチェックする。 -
ネジ山の状態を毎回確認する
→ 一度でも違和感があったら、無理に締めず点検。 -
安物トルクレンチの信頼性を過信しない
→ 定期的に校正、または信頼できるメーカー製を使う。
■修復と再挑戦
幸い、ナットのネジ山だけが潰れており、ハブ側は無事。
新しいナットに交換し、慎重に締め直しました。
次からは「カチッ」を過信せず、**“軽く抵抗を感じるところからトルク確認”**を意識しています。
■まとめ
DIY整備では、**「工具を信じすぎない」**ことも大事。
トルクレンチはあくまで目安であり、最後に頼れるのは自分の感覚です。
トルクレンチを使うときは「機械任せ」ではなく「一緒に仕事をする」つもりで。

