DIY整備に欠かせない「トルクレンチ」。
規定値で締められる便利な工具ですが、万能ではありません。
僕自身、トルクレンチを信用しすぎたせいで、見事にネジ山を潰してしまったことがあります。
この記事では、その時の失敗談と原因、再発を防ぐための対策をまとめます。
これからDIYを始める人には、ぜひ同じミスをしないようにしてほしいです。
■ トルクレンチを信用しすぎた結果…ネジ山が終了した瞬間
作業内容はごく普通の整備。
規定トルクも調べてあって、あとはトルクレンチでカチッと締めるだけ。
「規定値の数値に合わせたし、カチって鳴るまでは回してOKでしょ」
そう思って、何も疑わずにトルクレンチを回し続けた結果…
突然、手ごたえが“スッ…”と軽くなる。
嫌な予感がして外してみると、ネジ山が完全にお亡くなりになっていました。
トルクレンチはカチッと鳴るどころか、
そもそもその時点でネジ山が抵抗を失っていたというオチです。
■ 失敗の原因|「トルクレンチは万能」の思い込み
今思えば、原因は複合的。しかし一番の理由はこれです。
● 1. ネジの“入り始め”を確認しなかった
ネジ穴とボルトの角度がわずかにズレた状態で締め始めたのが全ての元。
トルクレンチ以前の問題でした。
手で奥までスッと入らないまま、工具に頼ってしまったのが完全なミス。
● 2. トルクレンチを信用しすぎた
トルクレンチはあくまで
**「正常な状態で締め付けている時にトルクを測る道具」**であって、
ネジ山の異常を察知する道具ではありません。
ネジが噛み込み気味でも、固着気味でも、
トルクレンチは“カチッと鳴るまで回す機械”ではないんです。
● 3. トルクレンチの校正時期が不明
中古で買った工具で、いつ校正されたものかも不明。
内部バネが狂っていた可能性も否定できません。
同じ誤差でも、弱っているネジ穴にとどめを刺すには十分です。
■ ネジ山を潰すとどうなる?地味にキツいダメージ
ネジ山潰れは本当に面倒です。
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ボルトが二度と正しく締まらない
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タップ切り直し、もしくは部品交換
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最悪、アームやケースごと交換で高額出費
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DIYレベルを超えて整備工場行き
特に足回りやエンジン周りは交換費用やリスクが一気に跳ね上がります。
僕の場合はタップで救えたけど、
作業時間は予定の3倍以上になり、精神的ダメージがデカい…。
■ どうすれば防げた?今なら確実に言えるポイント
僕自身が実践している「二度とやらないための対策」をまとめます。
● 1. 最初の数山は必ず“手で回す”
指先で奥までスルスル入らないボルトは異常のサイン。
どの整備でも「最初は手締め」は絶対ルール。
● 2. トルクレンチは最後の仕上げだけに使う
本締めの直前までは普通のラチェットで締め、
最後に規定値でトルク管理するだけ。
トルクレンチで“ねじ込み始めから”回すのはやめたほうがいい。
● 3. ネジ穴を掃除しておく
ブレーキクリーナーで軽く洗浄 → エアブロー
もしくはワイヤーブラシでサビ落とし。
噛み込みの原因が減る。
● 4. グリス or ネジロック剤で適正トルクに近づける
メーカー規定によるけど、
乾いたまま締めると固着しやすい場所は少しグリスを塗る。
逆に緩みやすい場所はネジロック剤。
● 5. トルクレンチは定期的に校正する
頻度:
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DIYなら2〜3年に1回
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頻繁に使う人は1年に1回
安物は特にズレやすいので要注意。
■ トルクレンチの正しい使い方チェックリスト
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最初の2〜3山は手で回した?
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ネジ穴の汚れは取った?
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ねじ込み始めからトルクレンチを使っていない?
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使用トルク範囲が適切?(例:40〜200Nm)
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保管は“最低トルク”で戻した?
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校正から2年以上経ってない?
この6つを守るだけでネジ山事故の9割は防げます。
■ まとめ|“工具を信じすぎた自分”が失敗の原因だった
今回の失敗で痛感したのは…
トルクレンチは正確だけど、過信すると簡単に部品を壊す。
最後の判断をするのは人間の感覚。
ということ。
「カチッと鳴る=正しく締まっている」ではなく、
その前に“正常な状態かどうか”を確認することが重要です。
この記事が、あなたが同じミスを防ぐきっかけになれば嬉しい。
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